お人形の選び方
何にしても高い物なので慎重に選びたいですね。
一昔前までは7段、5段などの段飾りが主流でした。
でも今は住宅事情もあり徐々に親王飾りのような小ぶりのものを好まれるようになってきました。
段飾りの場合は全体を見てしまいますので、あまり人形本体に注目することはありませんが、親王飾りのように人形2体だけですとお人形の細部まで目が行くようになりました。
そしてより質の高い、大人になっても飾りたくなるような人形を求めるお客様が増えていきています。
人形以外の飾りや肩書などで高い値段がついているものも少なくありません。
簡単な基礎知識を知っているだけでも
ずいぶん違いが見えてきます。
次に違いが出る匠の技をご紹介しますので、お選びになる際の参考にしてください。
皆様は人形を購入するとき何を基準に選びますか?
大きさなのか? 予算なのか?
何にしても高い物なので慎重に選びたいですね。
一昔前までは7段、5段などの段飾りが主流でした。
でも今は住宅事情もあり徐々に親王飾りのような小ぶりのものを好まれるようになってきました。
段飾りの場合は全体を見てしまいますので、あまり人形本体に注目することはありませんが、親王飾りのように人形2体だけですとお人形の細部まで目が行くようになりました。
そしてより質の高い、大人になっても飾りたくなるような人形を求めるお客様が増えていきています。
しかし一方で腕の良い職人さんは年々少なくなり、量産タイプの人形が増えてしまっているのが実情です。
人形以外の飾りや肩書などで高い値段がついているものも少なくありません。
簡単な基礎知識を知っているだけでもずいぶん違いが見えてきます。
次に違いが出る匠の技をご紹介しますので、お選びになる際の参考にしてください。
匠の技
手彫り仕上げ
写真(A)と(B) どちらのお雛様のお顔が好きですか?
(A)の方はふっくらと表情も豊かです。
それに比べ、(B)は平面的で表情に乏しく、唇も前に出ています。(B)は現在日本で一番多く使われている分業量産型の顔の一例です。
型に材料の石膏を流し込み、抜きあげて後ろから目を貼り筆で眉や口を書いています。
それに対して写真(A)は 「 重塗り胡粉 (かさねぬりごふん) 手彫り仕上げ 」という伝統的な技術によって作られています。顔の表面に胡粉(カキの貝殻を白い粉末にしてニカワと混ぜた伝統的な素材)をハケで丹念に塗り重ね、目や口を彫刻刀で彫りあげて仕上げています。口の中の舌まで細工が施されています。
(B)の技法に比べ工程が多くなり、手間がかかりますが立体感が増し、味わい深く温かみのあるやさしいお顔に仕上げることができます。しかし現在出回っているお人形の大半は(B)タイプのもので(A)の重ね塗り胡粉手彫り仕上げのお雛様はごくわずかです。また手彫り仕上げなら良いということではなく、作者の技量が良くなければ意味がありませんので、購入の際には違いをよく見比べ、好みのお人形を見つけてください。
髪と髪型
顔の次に重要なのは髪の毛です。
お雛様の髪型には大きく分けて2種類あります。
一つは写真(C)の古典下げ髪で、割り毛とも呼ばれます。平安時代に誕生した日本古来の髪型で、江戸、明治時代のお雛様に用いられた気品のある髪型です。
もう一つは写真(D)の江戸時代後期に完成されたおすべらかしという髪型です。雛人形の歴史的には比較的新しい髪型です。現代では皇后さま、雅子様ご成婚等、皇室の行事に用いられ現代の一般的な髪型として親しまれています。技術的にはおすべらかしは型の表面だけに結髪するのに対し、古典下げ髪は型を使わず髪の毛だけで仕上げていくので、量も多く必要です。高い技術も必要で特に高級な雛人形に用いられています。
髪の毛の素材はスガ糸(E)と呼ばれる正絹糸を黒く染めた伝統的な糸とナイロン糸(F)があります。ナイロン糸はツルツルとした光沢のある髪になります。
それに対し、スガ糸は高価ですが、しっとりとした自然な風合いの髪となります。
高額品にもかかわらず、コストダウンの為にナイロン糸を使っている場合もありますので気をつけて確認してください。
手
お雛様の手には樹脂(プラスチック)のものと、木製のものがあります。
樹脂は質感が独特で光沢があり、中には「バリ」が出ているものもあります。
それに対し木製はお顔と同じように胡粉で仕上げるので、質感もお顔と同じにふっくらと統一感も出ます。
爪部分は、薄くピンク色に彩色がされ、形も忠実に再現されています。
最高級品になると関節のしわさえ表現されているものもあります。
純金箔盛上彩色
一見刺繍のように見えますが江戸時代の嵯峨人形にも用いられた伝統の技です。最初に粘り気のある胡粉を筆で高く盛上げて輪郭を描きます。その輪郭に漆を塗り、純金箔をのせます。
絶妙なタイミングに非常に高度な技を必要とします。最後に金色の輪郭の内側に絵の具で彩色します。純金箔は黒ずむ事なく、いつまでもきれいな金色を保ちます。
この技術を受け継ぐ職人は僅かで、ごく一部の高級な人形にのみ用いられています。
純金箔盛上彩色
一見刺繍のように見えますが江戸時代の嵯峨人形にも用いられた伝統の技です。最初に粘り気のある胡粉を筆で高く盛上げて輪郭を描きます。その輪郭に漆を塗り、純金箔をのせます。
絶妙なタイミングに非常に高度な技を必要とします。最後に金色の輪郭の内側に絵の具で彩色します。純金箔は黒ずむ事なく、いつまでもきれいな金色を保ちます。
この技術を受け継ぐ職人は僅かで、ごく一部の高級な人形にのみ用いられています。
自然な体型
写真(R)と写真(S)を比べてみてください。
カラー写真では分かりにくいのでそれぞれのシルエットを置いてみました。
最初に気付くのは肩幅の違いです。幅を広くするほうが作り安いので、よくある量産仕上げタイプのお雛様は(S)のような形が多いのです。いかり肩で体のわりに首が長く腕が短くみえます。
一方(R)の職人仕上げの方は肩幅も短く、人の体型に近く自然です。
シルエットもきれいな三角形でいつまでも飽きることなく飾って頂けます。
手首の位置にもご注目ください。
写真(S)の手首は浮き上がっているのに対し写真(R)はどっしりと安定感のある構えです。
お雛様を選ぶときどうしても色柄、素材など表面的なことに目を奪われがちですが、まず全体の体型の良さを見て、それから色柄を見ましょう。
なぜ三角なのか?
あらゆる芸術作品は、三角(円錐)/丸(球)/四角(円柱)に収まる形が最も安定感を与え、理想とされています。
例えばエジプトのピラミッドは四~五千年経った現在でも私たちを魅了し、また自然界の富士山は美しい造形とされ、世界の人々にも愛され世界遺産にもなっています。
本来、モノづくりは完成図(設計図やデッサン)に基づいて制作されるのが基本で、当雛人形も完成図を基にして工房内で一貫制作しております。このような製法の雛人形は他にございません。
式正冠(しきせいかんむり)
既製の物ではなく、デッサンを元にお顔の大きさや形に合せて制作しています。
さらに笄棒(こうがいぼう)を髷(まげ)に差して固定する為に髷と冠の穴の位置も正確に合わせています。
※平安期~江戸期に使用されていた冠の被り方を参考に制作したのが式正冠です。顔の周りに余計な紐がない為お顔周りがすっきり見えるのも特徴です。